「子どもはいません」に対する反応 日本とドイツ

regina_zulauf / Pixabay

わたしたちは結婚14年目になりますが子どもはいません。海外も含めいろんなところに転居するので、新しく知り合う人も多く、そのたびに「子どもはいません」と言うわけですが、この答えに対する反応が日本とドイツでは結構違っていて興味深い。

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アスリートから実業家に転身するように

わたしたちは結婚14年目、交際期間を含めると20年以上になります。もう人生の半分を一緒に過ごしている計算です。時の流れが早すぎる。

子どもができなかったことに関しては、まあしゃーねぇなという感じです。こればっかりはどうしようもない。たとえばウサイン・ボルトに憧れて陸上選手を目指したけれど、100メートル10秒の壁が破れなかったので引退という気分です。我が生涯に一片の悔いなし。

実際そういうことって多いですよね。目指したけれど手が届かないってことはよくあることです。でも方向転換してみたらすごくいい方向に転がるってこともあるかもしれない。アスリートからまったく分野違いの実業家に転身することだってなきにしもあらず。

ドイツで「子どもはいるの?」という質問はタブー?

時々「欧米で『子どもはいるの?』という質問はタブー」という文章を目にするんですけど、そうなんですかね? 少なくともわたしはドイツにいても普通に聞かれています。ドイツにトータル5年住み、夫の海外出張に付き合っていろんな国の人と話をしますが、結婚しているというと当然のように「子どもはいるの?」という話になります。

そりゃそうですよね。一度しか会わないような人ならまだしも、今後も付き合いが続く可能性があるなら、子どもがいるかいないかは気になるとこだと思いますよ。まあ単に話題に困って聞いてみたっていうだけかもしれませんが。

小さなお子さんがいるならば、お子さんが調子崩したり熱を出したりして都合が変わることも当然ありますし、それは周りもサポートした方がいいと思いますしね。でも子どもがいるということを知らなければ周りはサポートできないのだから、知っておきたいという気持ちは分かります。

なので、わたしは「子どもはいるの?」と聞かれて不愉快に思ったことはないです。ただその後の反応がめんどくさいなぁと思うことは多いのですが……。

「子どもはいません」に対する反応 日本

よく言われたのはこんな感じです。

「子どもはかわいいわよ」

そうですか。

しかし「子どもがかわいい」ことと「子どもができる」ことはまったくイコールではないということをお忘れです。また子どもができないわけでなく、子どもを作らない選択をする人もいますが、その人たちだって子どもがかわいくないから作りたくないというわけじゃないかもしれません。「子どもはかわいいわよ」と言われても「そうかいな」としか言いようがない。

「こうすれば子どもができたらしいわよ」

そうですか。

しかしこういう情報ってたいてい「あのお茶を飲めばガンが治ったらしい」と同じくらい胡散くさいからいらないんですよ。そして生々しくて正直聞きたくない。知りたければ病院に行って専門家の意見を聞くからいいです。親切心なのかもしれないけどそんな情報いらんがな。

「気の毒に」「かわいそうに」

え?そうですか?

まあ子どもは欲しかったので残念っちゃ残念ですけど、その代わり二人の時間がたくさん持てましたし、いまだに二人で海に行ってシュノーケリングして日焼けしすぎて上向いて寝られなかったり、山の上にある動物園でイノシシの子ども見て後ついて山道歩いて筋肉痛になったりとわりと楽しい人生ですよ。

「気の毒に」「かわいそうに」って一見「子どもができない女性に同情を示す心優しい人」みたいな感じに見えますけど、「子どもができない女性」=「気の毒」「かわいそう」という価値観を押しつけてることにもなるんじゃないでしょうか。

「子どもはいません」に対する反応 ドイツ

一方ドイツはというとこんな感じです。

「あら、そう。じゃあ仕事は?」

す、すみません。無職です。

ドイツで「子どもはいません」というと「あら、そう」と言うぐらいで「じゃあ仕事は?」と、さくっと切り替わります。日本の反応に慣れた身だと肩透かしを食うぐらい。しかしこれが大変気楽でいい。「子どもを産む」ということは能力と条件が必要で、できないものはできないからアレコレ言われても困るんですけど、まあ仕事はいまわたしサボってるだけですからね……。

ただドイツは「前職は?」とか「じゃあ今度こんな仕事頼んでいい?」とか、ものっそい具体的にぐいぐい来ることがあるのでちょっと怖い。

バリエーションに「あら、じゃあ趣味は?」という返しもあります。お見合いか。

ほったらかしが心地いいドイツ、かまってくれて嬉しい日本

ドイツは子どものことだけでなく、基本的に他人のことはほったらかしです。「日本のどこから来たの? わたしはどこどこに行ったことがあるわよ」と質問しておきながら、自分の話をし始めることもしばしば。ああ、これは他の国の人も一緒かw

わたしはこれぐらいほったらかされてる方が気楽だし、言いたいことがあるときは自分からぐいぐい行ける方なので、ドイツは大変住み心地がいいです。

しかしもちろん日本のかまいまくる対応が好きだという人もいます。特に子どもができずに悩んでいる渦中の人で、悩みを聞いてほしいという人とは相性がよさそう。あと自分からぐいぐい行かない人は、聞いてもらえないと誰にも話ができず孤独に思うのかも。うーん、人それぞれですね。

ちなみにドイツ語でも「あ、そう」は「Ach, So(アッ、ゾウ)」。使いやすい。

できればほっといてほしいというお願い

まあ人それぞれなのですが、子どもができなかったわたしとしてはできればほっといてほしい。気分は引退したアスリートで、自分のこれまでにも満足しているから、よし別のステージに行こうというところなんです。にもかかわらず「いやいや、まだ現役でがんばれる」とか「何歳まで現役をやってた人もいる」とか引き留められても困っちゃうわけです。もう引退するって決めちゃったし。

特に「できなかった」と過去形で話したり、「子どもをつくるつもりはない」と言ってる人は別のステージに向かってる人だから、子どもの話をしつこく続けるより「仕事は?」とか「趣味は?」とか違うことを聞いてあげてほしい。女性だからといって子どもを産むことだけがすべてじゃないわけですから。

いろんな人がいていいじゃないですか。ドイツの「仕事は?」「趣味は?」という質問こそがそれを示唆している気がします。

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