ドイツで水漏れ、そして工事へ(まとめ)

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なんだかんだ紆余曲折を経て、無事に終了したドイツでの壁修繕工事。最後に今回の工事を教訓に、ドイツで工事業者さんを迎える心得についてまとめてみたいと思います。

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1.物を隠せる引き出しをつくるべし

deutschefrau

十数年前、ドイツ・ベルリンへの転居が決まったときに買ったのがこの「ドイツ婦人の家庭学」(著:八木あき子)という本です。発行日は平成2年とかなり古く、中身もやや古い内容なのですが、「こういう生活の考え方が、現代のドイツを作ったのだなぁ」とよく分かります。

日本のおばあちゃんの知恵袋に近いかもしれませんね。「物は大切にして、使えなくなったらまた再利用する」というような知恵が日本の「もったいない」という精神の礎になったというのと似ている気がします。

その「ドイツ婦人の家庭学」の一節にこんな文章があります。

ドイツ人の大多数の家がすかーッとしているのも、片付け上手であること……(中略)……突然のお客様の時にもむさ苦しい所は見せたくありませんから、すぐさま身辺の物をしまえるように、戸棚の一箇所はいつも空にしておくのです。

なるほど……!

たしかにドイツ人のお宅はどこも広々としてキレイです。単に、日本にくらべて敷地面積が広いからじゃないかと思ってるところもあったのですが、今回のように突然のお宅訪問が繰り返されると、「部屋の片づけは必須」なんだなとよく分かりました。

前回は1年ほどしかドイツに住んでおらず、突然人が訪ねてくることはなかったので油断していました。日本に住んでいるときも、あまり近所づきあいをする方ではなかったので、アポイントなしに人が訪ねてくることがなかったんですよね~。

メールを打つのも面倒がるせっかちなドイツ人ですから、

「もう来ちゃったんだし、連絡するよりも行っちゃった方が早いよね」

と考えてアポなしお宅訪問になったのでしょう。まあ、仕方ない。郷に入れば郷に従えです。

前日飲み過ぎて昼まで寝てるのは論外だとしても、「ドイツ婦人の家庭学」の教えを守って、なんでも突っ込める戸棚は用意しておこうと心を新たにしました。

2.土足もやむなしと心得るべし

vanish

いや、もうほんと参りました。家の中を土足で歩かれるのがこんなにストレスになるなんて!日本じゃ考えられませんもんね。

我が家は家具付きの家を借りていて、以前の借り主はおそらくドイツ人もしくは西欧人。当然、室内は土足でした。引越し当初は何度か大家さんに来てもらったのですが、その時ももちろん土足。

十数年前、ベルリンに住んでいたときも土足の家だったので、常にスリッパを生活していました。ボンでもしばらくはスリッパ生活だったのですが、どうにも床にごろっとなれないのがツライ。40代日本人、それも庶民育ちなので、西欧風の生活になじめないんです。

と、そんなときテレビを見ていたら画期的な商品のCMを見かけました。その名も「Vanish」

テレビ画面には家族が土足で歩く床をハイハイする赤ちゃんが映っています。それを心配そうに見守るお母さん。でも「Vanish」があればダイジョーブ! 泡の力で汚れを浮き出して、掃除機で吸い取ってしまえばもう安心! 家族みんな素足で生活! 赤ちゃんがハイハイしたって気にならなーい!

わーお!!! すごいよ、ジョージ(仮名)!!
これだよ、わたしが求めていたのは!!

日本の通販だったら間違いなく即電話していたぐらい興奮し、翌日にはドラッグストアの「dm」へ。「Vanish」を3本購入して全部屋(2部屋しかないけど2本では足りない)を掃除してやりました。なんだか妙に勝ち誇った気分で高笑いです。うはははは!

しかし、こんなにハイテンションで掃除した我が家のクリーンな床も長くは続かず……。その後、インターネットケーブルの工事で大家さんとテレコムの業者さんが、ソファを買って納入業者さんが、水漏れで修繕業者さんが土足で歩いていきました。ま、仕方ないですよね……。

今回も「Vanish」を購入。主に業者さんが歩いたところを重点的に掃除しましたが、初回のような達成感は得られませんでした。はぁ。

そういえばこの商品名の「Vanish」。ずっと「ヴァニッシュ」って呼んでたけど、ドイツ語読みだと「ファニシュ」かもしれません。興奮していて商品名が聞き取れませんでした。どんだけだ。

3.予定は半日単位で組むべし

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以前、ドイツ人の友人のパーティに誘われたとき、10分前に行ったんです。しかしその場にいるのは私たち夫婦と一緒に連れて行った日本人の友人だけ。ほとんどの人は10分以降、大半は30分後ぐらいに集まり始めました。別の友人に「集まるの遅いけど、これは普通?」と聞くと「大きなパーティーは10分後に来るのが礼儀だよ」と教えられました。まじか!

たしかに日本でホームパーティーっぽいものをするときも、あまりに早く行くのは迷惑かなぁと思い、予定時刻の直前につくようにはしますが、それでも遅れることはありません。まあ、ホームパーティーがさかんなヨーロッパではホストを急かさないように少し遅れて到着するのが当たり前なのかもしれませんね。

なので、工事業者さんが予定時刻より遅れてくるのも、むしろ気遣いなのかもしれないと思うようになりました。依頼主としても「早く来てくれたら、早く終わって嬉しい」という人より、「早く来られたらまだ用意ができてないよ!」と困る人の方が多そうです。

宅配便も到着する日の連絡は来ますが、時間は直前まで確定せず。再配達の指定も時間は指定できないので、業者さんと予定を立てる場合は1日、少なくとも半日単位で考えないといけないと思いました。

分単位で予定を立てるなんて、生き急いでも仕方ない(あきらめ)。昔は時間に厳しめの性格だったのですが、ドイツに来てから他人にも自分にもずいぶん甘くなりました。日本に戻って暮らせる気がしません。

4.自分の家のことは自分で決めるべし

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賃貸住宅なのに借り主が壁の色を決められる、というのは結構な驚きです。ドイツ人はDIY好きの人が多いそうで、家の中で使うものを自分で作ったり、壁を自分で塗ったり、庭を自分で作ったりしています。

我が家から道路を挟んで向かい側に、アパートと荒れ放題の裏庭が見えていたのですが、新しい住人が来てから、お父さんらしき人物が1か月ほどちみちみと庭仕事を進めていき、いまではバーベキューができるような素敵なお庭になりました。前は壊れかけのあばら家と伸び放題の雑草しかなかったのに……!

でも思えば、自分の家のことは自分で決める、というのは普通のことなのかもしれません。自分が住む空間を快適にするのも不快にするのも自分次第。主体的に物事を決めるという自主性をかいまみた気がします。

5.大家さんが支払う場合はチップ不要

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工事業者さんが来ることになって、気になっていたのはチップです。

ドイツではそれほどチップ社会ではないので、チップをせびられるということはありません。飲食店などでは「おつりは結構です」とか「これ(おつり)はあなたに」とか言うとおつりがチップになるのですが、何も言わなければきっちりとおつりを持ってきてくれます。たとえば49ユーロの支払いで50ユーロ札を渡したら1ユーロのおつりを持ってきてくれるという感じです。

当たり前じゃない?と思われるかもしれませんが、イタリアでは微妙な金額だとおつりを持ってきてくれませんでしたし(たちが悪いと「チップが足りない」とさらにせびられました。サービスが悪いのに支払わん!)、スペインも店によるって感じでした。ドイツはわりと日本に近く「料金にサービスが含まれる」という考えがあるようです。

で、業者さんへのチップです。
いろいろドイツ在住の人のブログを読んでみても、あまりよくわかりません。そもそも水漏れしてる人がいない。参考になりそうなのは家具の配送ですが、「家具を配送してもらったときにチップを支払った」という人もいれば、「配送料に含まれるのでチップは支払わなかった」という人もいて、ますます混乱するばかり。

払ってもいいし払わなくてもいいんでしょうけど、いまいちすっきりしない。

今回は最終日に大家さんが来て「確認しないとお金が払えないからね」と言われ、「あ、そりゃそうか。賃貸だから大家さんが保険から支払うんだ」と気づき、私からはチップを渡しませんでした。

まあ、結局分かったのは「大家さんが支払う場合はチップ不要」というわりと当たり前の結論です。

持ち家なら……、きっと払うんでしょうねぇ。うちは日本人夫婦なのでチップをスマートに支払う方法が分からず、いまだに試行錯誤しています。チップ、難しい。

まとめ:お隣さんに接するような気持ちでおおらかに

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今回の業者さんに限らず、ドイツでは業者さんやお店の人がわりとフレンドリーです。「ドイツで水漏れ、そして工事へ(4)」で、「業者さんがいつの間にか敬語を止めていた」と書いたのですが、スーパーの年配の店員さんも私に対して敬語を使いません。これが不愉快だというわけではなく、ちょうどよい距離感に感じられます。

なんていうんでしょうね。大昔は小さな共同体の中でお互いの得意なことを活かして助け合って生きていたように、「僕は大工工事が得意だからやってあげよう」というような親しみを感じます。お客様は天上に住む神様ではなく、近くに住むいいお隣さんという感じです。なので、突然やってきたり、(自分の家と同じように)土足で入ったり、予定を変更したりするんでしょうね。

日本のサービスは安価で丁寧ですが、過剰な値下げと過剰な献身によって成り立っている部分があり、ちょっと無理してるよなぁと思うことがあります。もうちょっとドイツ風にいい加減でいいのかも。

ドイツでは業者さんとお客さんが隣人として互いに尊重し合っているからこそ、挨拶をしたり世間話をしたり、最後には必ず笑顔でお礼を言って感謝の気持ちを示すのかもしれません。そう思うと、おおらかでいい国ですね。

そして感謝の気持ちの一バリエーションがチップなのだと思いますが、どうにも「感謝の気持ちをお金で」というのが慣れず、いやでもそれがドイツなんだからと思うんだけど、いやいやどうにもこうにも。いつの日かスマートにチップを渡せるようになりたいです。うーん、やっぱりチップは難しい。

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