紛争地ギャグ飛び交うオリエンテーションコース【ドイツ・ボン】

Wokandapix / Pixabay

今週からオリエンテーションコースが始まりました。語学学習のときとはまた雰囲気が違って面白いので、授業の様子などをお伝えしたいと思います。

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受講者は大半がシリア・イラクからの人々

語学学習のクラスも25人中16人がシリア人で、ほかイラク人1人、アフガニスタン人1人、計18人が難民としてドイツにやってきた人でした。7割以上ですね。

本来なら語学学習のクラスのままオリエンテーションコースに進むのですが、いろいろ(*)あってわたしはクラスを移ることになり、いまは別のクラスでオリエンテーションコースを受けています。

新しいクラスはたぶん20人ぐらいで、わたしとトルコ人、エジプト人、ケニア人の計4人を除いて、ほかは難民としてドイツにきた人です。

難民としてドイツにきた人は、イラク人4人、エリトリア人1人、シリア人10~12人くらい。いかんせん全員そろわないので正確な人数はよくわかりません。

*この「いろいろ」を語りだすと愚痴しか出ないので、とりあえず今日は授業の様子に絞って書いていきます。いや、もうホントにもう……(こぼれる愚痴)。

小・中学校の社会科を思い出すオリエンテーションコース

オリエンテーションコースのテーマは大きく分けて3つ。

「民主主義政治(Politik in der Demokratie)」
「歴史と責任(Geschichte und Verantwortung)」
「人と社会(Mensch und Gesellschaft)」

硬い日本語訳になってますが、内容的にはもう少しくだけた感じ。小学校とか中学校で習った社会や公民の授業っぽいです。

「民主主義ってどんな意味かな?当てはまる文章を選びましょう」とか、ドイツの白地図を使って「州の名前と州都をあてはめましょう」とかいう問題が出題されます。童心に返ってわりと楽しい。

昨日・今日は憲法がテーマ。三権分立や基本的人権などについて習いました。日本とほぼ同じなのでシステム自体は分かるのですが、単語が難しすぎてさっぱり意味がつかめません。小・中学校の社会って結構難しい日本語だったんだなぁ(しみじみ)。

みんな言いたい放題で授業がてんやわんや

小・中学校の授業と大きく異なるのは、受講者の出身国がバラバラだということ。授業のところどころで「あなたの国ではどうですか?」という質問が入るのですが、これがもうてんやわんやなんです。

日本はドイツに近い憲法なので、たいてい「ドイツと同じです」と答えればいいのですが、ほかの国では全然違ったりするんですよね。

今日は「国民・市民の権利と義務」という話で、ドイツには納税の義務、教育の義務、民主主義を尊重する義務(そんなのあるんですね)などがあるという話になりました。

で、「あなたの国には納税の義務があるの?」と先生が聞いたら、イラク人が「イラクに納税の義務はない」というんです。マジか。

彼が言うにはイラクは紛争の期間が長く、そもそも仕事がないんだそうです。一家庭で一人が仕事につければラッキーなので、納税の義務があっても払うことができないから、納税の義務自体ないとのこと。ほほう。そしてもちろん、日本では国民の三大義務の一つ、勤労の義務もありません。そりゃそうか。

すんなり書いてますが、実際はみんな話したいことを話したいように話すので、結論まで10分以上かかることもざらです。授業はまるで「朝まで生テレビ」のような感じになります。てんやわんやしてそうでしょ? アラブ人は政治とタバコとサッカーが大好きだから、めちゃくちゃヒートアップ。

最初はどこに向いて話を聞けば分からなかったのですが、最近はだいぶ慣れてきて、近くにいる人と適当に話をしてればいいんだと分かってきました。慣れてくると面白いです。これからオリエンテーションコースを受ける人はぜひお試しください。いい感じに乗り切れると思います。

笑っていいの!? 紛争地ギャグ

オリエンテーションコースはテーマがテーマだけに、ナーバスな話題もあるのですが、当の本人たちは意外とケロリとしてたりします。

選挙の話になったときのことです。
先生が「シリアでは選挙は開催されるの?」と聞くと、「もちろんですよ~。だってシリアは民主主義ですから。ま、候補者は一人だし、投票しないと捕まっちゃいますけどね!」とか言って、シリア人はみなゲラゲラ笑っていました。

イラク人は「あなたの国にはサンタクロースは来るの?」という質問に、「イラクにはサンタクロースは来ないけど、たとえ来たとしてもミサイルで撃ち落とされるから、みんなの家にはたどり着けないと思いますよ!」と言って、やっぱりゲラゲラ笑っています。

紛争地ギャグか!

他にもイラク人は「戦争はあるかって? むしろ戦争しかない」というのが鉄板ギャグらしく、前のコースでもいまのコースでも聞きました。いいの!? それ、わたしも笑っていいの!?

最初に聞いたときは「こういうときどんな顔すればいいかわからないの」状態でしたが、最近ようやく「笑えばいいと思うよ」と思うようになりました(エヴァ)。自分の人生でリアルにこの言葉を使う日が来るとは。

悲しいからこそ笑う日もある

とは言え、彼らが悲しくないわけじゃないんですよね。祖国の悲劇を悲しんでいるし、祖国を離れてしまったことに罪悪感を覚え、残してきた友人や親族たちを想って胸を痛めているとも話していました。

わたしは紛争地域に住んだことはもちろんありませんが、気持ちは少し分かる気がします。

わたしは神戸と仙台で二度、大震災にあっています。いまでも当時のことを思うと苦しくて悲しいですし、崩れた街を見ながらのうのうと生きている自分に罪悪感を覚えたこともありました。

だけど悲しんでばかりいてもどうにもならないし、だんだんと笑えるようになってきます。そして調子に乗って被災地ギャグをかまして、まわりの人にドン引かれたりするわけです。

自分では面白いと思っているのにドン引かれるとなかなか悲しい。あれ?面白くなかった?ってかなり焦ります。考えてみればそりゃ聞かされた方は笑いにくいでしょうね。フフ(苦笑)。

たぶんクラスのみんなも笑わせるために話してると思うので、面白いときには遠慮せずに笑っとこうと思います。

せっかくなので楽しみます

クラスが変わることがなければ出会わなかった人たちと、縁あって机を並べ、毎日一緒に勉強することになりました。しかもドイツで。人生って本当にいろいろありますねぇ。

せっかくなので紛争地ギャグに笑ったりしながら、あと一週間、楽しくオリエンテーションコースをがんばりたいと思います。

本当は1月末までだったのに短縮されたんですよ……(あふれる愚痴)。それはまたの機会に。【追記】書きました。止まらなかった

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