「Integrationへの長い道のり」(1)~(4)では長々と実体験を書いたのですが、もう少し簡潔にIntegrationskurs(インテグレーションコース)の申し込みについてまとめておきます。
ちょうど移民法の改変期にあるようで、いま調べてみたらすでにわたしが申し込んだ時と条件が変わっているところがありました。この記事は基本的に2016年7月に申し込んだ情報のまとめなので、これから申し込む人はドイツ移民・難民局の最新情報に注意してください。
(ドイツ移民・難民局:Bundesamt für Migration und Flüchtlinge(BAMF))
>>社会融合講座に関する通達(PDF:日本語資料(BAMF))
Integrationskurs(インテグレーションコース)とは
インテグレーションコースはドイツが進める移民施策の一つです。ドイツに住む移民や難民の人々が社会に融合できるよう、ドイツ語講座とドイツの歴史・地理・政治などを学ぶためのオリエンテーション講座(Orientierungskurs)を安価または無料で提供しています。
インテグレーションコースの受講対象者
ドイツ移民・難民局:Bundesamt für Migration und Flüchtlinge(BAMF)が発行する日本語資料「社会融合講座に関する通達」(PDF)によれば、
「外国人として既にかなり長い期間ドイツに住んでいるか、ヨーロッパ連合国人であるか、あるいはドイツ人であるが、十分なドイツ語の知識を持ち合わせていない」人
は、インテグレーションコース(社会融合講座)に「参加する許可を申請することができ」ると書いています。
わたしが受講したクラスだと、
- ドイツに長期間住む外国人(わたしたちはここに分類)
- パートナーがドイツ人である外国人
- EU市民
- 難民
がほとんどでした。「ドイツ人であるが、十分なドイツ語の知識を持ち合わせていない人」は、20年以上前に難民として移住し、すでにドイツ国籍を取得している人が一人いました。昔は国籍取得の条件が違っていたのだそうです。
*日本国籍だとドイツでの在留許可がほとんど問題なく下りるため、日本企業に勤めるドイツ駐在員とその家族や、留学生にはインテグレーションコースについての情報がアナウンスされないことが多いようです。
*他国籍の人だと、たとえ数年間の滞在だったとしても、ビザ更新のためにインテグレーションコースを義務付けられる人もいるようです。
移民局でのすったもんだはこちら。
インテグレーションコースのカリキュラム
インテグレーションコースは600時間の語学講座と100時間のオリエンテーション講座で構成されています。
語学講座はModul1~6に分かれていて、それぞれ100時間ずつ。各クラスのレベルは
- Modul1:A1-1(100時間)
- Modul2:A1-2(100時間)
- Modul3:A2-1(100時間)
- Modul4:A2-2(100時間)
- Modul5:B1-1(100時間)
- Modul6:B1-2(100時間)
に対応します。右側のレベル分けはヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)に準拠しています。
すべての人がModul1から始める必要はなく、インテグレーションコース開催校に申し込む段階でレベルテストを受け、適したコースからスタートできます。わたしはすでに他校で授業を受けていたので、Modul5からスタートしました。
アルファベットを学んだことがない人のための講座はこの600時間とは別に設けられています。
レベルテスト当日の様子はこちら。
インテグレーションコースの費用
1授業時間につき、1.95ユーロです(16年12月2日現在)。
わたしが受けたときは1.55ユーロでした(1コース155ユーロ)。その前は1.25ユーロだったようなのでどんどん高くなってますが、普通に語学学校に通ったら1コース500~700ユーロはざらなのでまだまだ安いです。Module5、6とオリエンテーション講座の3つを受けても465ユーロ。
わたしはドイツで働く予定がなかったので申請しませんでしたが、求職者として労働局(ジョブセンター)に登録すれば、コース費用が無料になり、かつ交通費を支給してくれることもあるそうです。その他、いくつか免除用件があるようなので、詳しくは下記資料の「社会融合講座の費用」をご覧ください。
インテグレーションコースの開催校
インテグレーションコースはどこでもやっているわけではなく、開催校が決められています。開催校のリストは移民局で指示された地方事務所でもらうことができます。
わたし(ドイツ・ボン)の場合は、Internationale Begegnungsstatteというところでインテグレーションコース受講許可証と開催校リストをもらいました。
ほとんどの都市でVolkshochschule(フォルクスホッホシューレ)は開催校になっているようです(政府機関だから当たり前といえば当たり前)。
開催校選びで迷ってる様子はこちら。
インテグレーションコースの修了
インテグレーションコースは語学講座の修了テスト(Deutsch-Test fur Zuwanderer)、オリエンテーション講座の修了テスト(Orientierungskurstest:Leben in Deutschland)に合格すると、「社会融合講座修了証(Zertifikat Integrationskurs)」が交付されます。
それぞれテストは講座費用に含まれているので無料です。
以前はテストだけ受けることもできたようですが、現在では講座とテストは一体で受講しなければいけないようです。地方によるのかもしれませんが。
Deutsch-Test für Zuwanderer(移民のためのドイツ語)当日の様子についてはこちら。
インテグレーションコースの申し込み方法
インテグレーションコースは移民・難民のために用意された講座なので、いきなり申し込むことはできません。わたしの場合の申し込み手順はこんな感じでした。
申し込み手順
- ビザ更新時に移民局で地方事務所へ行くよう指示される
- 地方事務所でインテグレーションコース受講許可証を発行される
- インテグレーションコース開催校でレベルテストを受ける
- 同校でインテグレーションコース申し込みを行う
すんなり書いてますが、こんなにすんなり行きませんでしたからね!んもう!
通常はインテグレーションコースの申し込みをすれば、語学講座とオリエンテーション講座が同時に申し込まれるのですが、わたしは改変期に当たってしまったので、それぞれ別々に申し込まなければいけませんでした……。そんなのばっかり!
オリエンテーション講座の申し込み(の愚痴)についてはこちら。普通はこんなこと必要ないので安心してください。
受講許可証を発行する機関
受講許可証を発行する「地方事務所」は各都市によって異なるようです。わたしの住むボンでは移民局の地方事務所ではなく、「Amt für Kinder, Jugend und Familie(児童、青年、家庭のための部局)」というところの、Internationale Begegnungsstatteという機関から連絡がきました。
受講許可証を受け取るまでがこちら。
申し込みに必要な書類
3の「インテグレーションコース申し込み」には
- インテグレーションコース受講許可証
- 滞在許可証
- パスポート
が必要でした。それぞれ開催校によって異なるかもしれないので、必ず開催校の指示に従ってください。
費用の支払い
お金は当日支払う必要はありません。後日、事務所で支払うか、銀行振込すればいいようです。
気をつけておきたいこと
最初にも書きましたが、この記事は基本的に2016年7月に申し込んだ情報をまとめたものです。わたしが受講している間にも、オリエンテーション講座の授業時間が変更になったり(すごく迷惑した)、1時間あたりの費用が1.55ユーロから1.95ユーロに変更になりました。
だいたいこんな流れで申し込みが進むと思いますが、細かなところは日々変わっていくので、必ずドイツ移民・難民局の最新情報をチェックするようにしてくださいね。
(ドイツ移民・難民局:Bundesamt für Migration und Flüchtlinge(BAMF))
>>社会融合講座に関する通達(PDF:日本語資料(BAMF))